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井戸を掘る。1




まいど、

心理カウンセラーの阪中ゲンです。

ようお越しくださいました。




セッションの中で、

「井戸を掘る」という言葉を、比喩として使うことがあります。



特に夫婦やパートナーシップの関係の中で、

自分について深く関わる、といった感じの意味としてです。




誰かと長く一緒にいるようになると、

相手の行動が、自分の感性やタイミングと違うことがあり、

当然それはストレスになります。



その時に、相手にそれを伝えて自分を理解してもらう。

こういったコミュニケーションで解決することもあります。



ところが、いくら相手に自分の気持を伝えても、

相手は理解してくれない、それどころか、

相手は、相手の言い分をまくしたててくる。


たいていは、その後、いくさが勃発します。(笑)



まあ、ほとんどのカップル、夫婦が体験していることだとは思います。

で、そんな時にどうすればいいのか、

といったときに出てくるのが、「井戸を掘る」です。





作家の村上春樹さんと、心理学者の河合隼雄さんとの対談をまとめた、

「村上春樹、河合隼雄に会いにいく」という本があるんですが、


その中で、村上春樹さんが「結婚生活」について語っている文章があって、

これが、けっこう衝撃的です。



村上
僕自身は結婚してから長い間、結婚生活というのはお互いの欠落を埋めあうためのものじゃないかというふうにぼんやりと考えていました。
でも最近になって(もう結婚して25年になるのだけれど)、それはちょっと違うのかなと考えるようになりました。
それはむしろお互いの欠落を暴きたてる――声高か無言かの違いはあるにせよ――過程の連続に過ぎなかったのではないかと。

結局のところ、自分の欠落を埋めることができるのは自分自身でしかないわけです。他人がやってくれるものではない。
そして欠落を埋めるには、その欠落の場所と大きさを、自分できっちりと認識するしかない。
結婚生活というのは煎じ詰めていえば、そのような冷厳な相互マッピングの作業に過ぎなかったのではあるまいかと、このごろになってふと思うようになったのです。





どうですか?


結婚って互いのマイナス部分を補い合うもの、ってイメージなかったですか?

もちろん、そういう要素もあると思います。



でも、相手と関わることによって、自分の欠けているところがはっきりとしてくる。

「結婚」には、それを自分に見せるための装置としての役割がある、ということです。





「井戸を掘る」

自分の欠落している部分から目を背けることなく、深く自分と関わる。




これは、孤独でしんどい作業だと思います。

このことについて、二人ははこう語っています。




河合 
ぼくもいまある原稿で夫婦のことを書いているのですが、愛し合っているふたりが結婚したら幸福になるという、そんなばかな話はない。
そんなこと思って結婚するから憂うつになるんですね。
なんのために結婚して夫婦になるかといったら苦しむために「井戸掘り」をするためなんだ、というのが僕の結論なのです。
井戸掘りは大変なことです。だから、べつにしなくてもいいんじゃないかと思ったりするんですよ。


村上 
何度も結婚する人がいますよね、二回も三回も。


河合 
そういうのは大抵、井戸掘りを拒否しているんですね。
井戸掘りはしんどいから、掘らないであちこち別の人を探しているけれど、結局、同じような人を相手にしていますよ。




このへんだけ読んでると、

そんなしんどいこと、なんのためにやらないといけないの?


って思っても仕方ないですよね。(笑)




「井戸を掘ること」の効用については、

「井戸を掘る2」で。




井戸を掘る。1_a0142373_23175113.jpeg
アワユキセンダンソウ。
花は可愛いけど、タネが刺さるので、
沖縄では「さしグサ」と呼ばれています。




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by teeda-smile | 2014-09-02 06:47 | なんやらかんやら


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